みんな大好き三国志
上野にある東京国立博物館で開催されている「三国志展」ってやつを見てきたんで、その感想をちょろっと書いてみようかなと。展示物はすべて撮影可
今回の展示物は、なんと全部撮影可! いやー太っ腹。解説文もちょうどいい長さで、楽しく読み進めることができた。「神になった関羽」ですと |
まぁ撮影できて嬉しいのは確かだけど、そこら辺のおばちゃんが写真撮るのに長々やってるから結構混んじゃう二律背反。
おばちゃんさぁ……君熱心に解説文まで全部写真撮ってるけども、後でそれ本当に見るのかい?
墳墓からの出土品から、三国時代を想像する
三国志の時代って西暦200年ぐらいのお話なんで、今から1800年も昔の出来事なワケ。だけどその時代の登場人物たちの墓から、かなり状態の良い出土品が出てるんだよね。それも、生前の位がそれほど高くないだろう人の墓からも、状態の良いモノが出てきてるの。
三国志ではおなじみ「鼎」 |
そうなってくると、解説文もどんどん面白く読めるようになるんだよね。
「当時この形の文字は中国で流行していた」
とか言われると「そんな時代から『流行のフォント』があるのか!」ってなるじゃん。
魏王の曹丕が配下の武将に対して
「あのさー、そのベルトのバックル超かっけーから貸して?」
って手紙が残っていたりとか、笑ってしまうけどかなり面白いじゃん。これは世迷言じゃなくて、マジで解説にそう書いてあったからね、念のため。
そういうレベルの出土品が、器から副葬品から武器から船から、あらゆる物で状態がいいものが展示されている。
「当時はこんなカンジだったんじゃないか」と想像させるに十分な物のオンパレードで、見ていて全く飽きが来なかった。
出土品は完全に近い物がたくさん
そんで、 1800年も前の物とは思えないほど完全な形の出土品が数多くあるのよ。でーっかい瓷とか、やたらでかい馬を形どった副葬品とか。よく割れもせず丸ごと残ってたねってそっちに感心しちゃう程。
実際に使われていたと思しき金印なんて実に興奮するよね。
こんな細かい細工のもの良く残ってたね |
それ以外にも弓矢の鏃が戦場跡からたくさん出土したとか、蜀の桟道からは「撒き菱」がたくさん出土したとか、そういう情報と共に実物が展示されてるワケ。
すごく右脳が刺激されるよね。
「ほほぉー!戦争の時はこれを撒いていたのかー!なるほどねぇ〜」
なんてカンジでウンウン頷いちゃう。
魏呉蜀、偏らない展示
出土品を中心とした展示で、時代のバックボーンを知る
こういう展示って、得てして「三国志演義」のストーリーに照らし合わせて構成したりするよね。そうなると、どうしたって主人公の劉備周りが多く登場することになって偏りが生まれがち。
だけどこの三国志展はそんな事なかった。
「博物館でミニ三国志演義」みたいな事は目指していない。三国志に興味のある人が見にくる前提のつくり。
あくまで構成は展示物優先。この時代を感じ取り易い、出来の良いものを優先して見せようとしてるに違いない。
結果として、出土品として状態が良い物と三国志演義の登場人物と関連があれば紹介していくというカンジ。
なので魏呉蜀の偏りも少ない。
コーナーの1つとして「魏呉蜀での文化の違い」を取り上げて、出土品の違いを解説していた。
「三国志演義」では語られない、三国志時代のバックボーンを語るような展示構成になっていて、大変気持ちよかった。
個人的には、貨幣や武器に魏呉蜀の違いがあるというのがなかなか面白かった。
良質な出土品が出た武将が大きく扱われる
今回の展示でいったら、なんと言っても曹操が目玉。なぜなら「曹操の墓からこんな物が見つかりました!」ってのが大きな発見だったから。それに合わせての今回の展示会なワケで。どーんと墳墓再現展示なんかされちゃって、まさに主役。
曹操高陵からの出土品 |
それ以外では、魏では曹丕と曹休が良く扱われていた。
曹休は余程墳墓の状態が良かったのか、実際に使っていた金印が展示されていた。
曹休の金印 右下のが実際の印象らしい |
曹休の金印は見ていてかなりワクワクした。だって、実際に使っていただろう物だからね。
「曹休とはまた地味な……」
とかは全然思わなかったよ、俺はね。
呉だと朱然。蜀でつくられた器が朱然の墓から出てきたってのが中々面白い。
関羽とっ捕まえた事に対する誰かの意趣返しなのか、それとも朱然は単純にその器を良く使っていただけなのか……。
想像するしかないから、色々と勝手に妄想が広がる。やっぱ歴史的遺物見て、そういう妄想を繰り広げるのって楽しいんだよなぁ。
蜀だと、残念ながら誰それの墓からコレが出てきました、的なフィーチャーはされていなかった。
出土品以外の盛り上げ要素
日本人が「三国志といえば」で思いつく三大要素が、なんとすべて網羅されているという驚きの盛り上げ要素。コーエー
「三国志といえば」で真っ先に浮かぶのは、やっぱりコーエーの三国志シリーズ。なんか、コーエーの三国志要素もチラホラと混ざってた。
蛇矛のレプリカ
展示物に食い込んでたのはコレだけ。「蛇矛は実在したのか?」っていうコーナーがあって、そこになぜか「三國無双シリーズより張飛の蛇矛のレプリカ」と銘打たれた長い棒が置かれていた。
あまりにくだらなくて写真も撮らずにスルーしたけども。
武将メーカー
ロビーに「武将メーカー」と書かれた大型のモニターが4台ぐらい並んでいた。何の事はない、カメラで写真撮って武将の顔部分にハメコミ合成するだけの遊具。
4台並べて、行列待機用のロープまで張ってあったけど人はまばら。これもくだらなすぎてスルーしてしまった。
解説ボイスが三國無双の声優
有料で、解説ガイダンスが流れるイヤホンを貸し出していたんだけども。通常版 900 円だけど、三國無双の武将の声あてた声優(4人ぐらいいた)のガイダンスの物も借りられます! なお1100円、みたいな事をやってた。
そもそもガイダンスに興味ないからスルー。
解説ボイスが吉川晃司
同様に、解説ガイダンスが(なぜか)吉川晃司の物も借りられます! なお1100円、みたいな事もやってた。なーんで吉川晃司なんだろうなぁ、モニカと祖茂のダジャレで祖茂ニカってことかな? とか思ってたんだけど。絶対違うって分かってたけど。
一緒に行ったボブさん(twitter)が
「三国志 13 のテーマソングが吉川晃司だから」
と教えてくれた。
なーるほどね。コーエーとズブいのか、面白関係性だなぁ、なんて思った。
当然スルー。俺モニカじゃねぇし。祖茂でもねぇ。
NHK
圧倒的な人形劇フィーチャー!展示物の合間合間で人形が展示されとる。なんだかスゴく雰囲気があるライティング。人形なのに、なんか有名人に会えたような感覚。
なんかこういう「幕間」って感じの、座りがいいスペースって必要だなって感じた。
古代古代で押してる中に、ふっと NHK の人形劇が入ってくる。すると、逆に「三国志演義」を思い出して「そうだそうだ、こういう人達が活躍していた物語の中の遺物が、今目の前にあるのだ!」という感動が蘇ってくる。
展示のリズムとして、心地良い。
あくまで「三国志演義」を感じないといけないので、三國無双じゃ幕間は無理なんだよなぁ。
横山光輝三国志
これも、人形劇と同じ幕間として素晴らしかった。一緒にいったぢそ君(twitter)なんて、ちょっと秋風五丈原で涙腺きてたが。
やはり横山光輝は偉大。
おみやげ
基本的に横山光輝フィーチャーのグッズが多い。ちょっとウケる。人形劇のグッズもあるのはスゴいな、力入ってるなぁと思った。
三国志展全体を振り返って
展示物の状態が良いだけでなく、展示の構成も素晴らしかった。また凝った展示をして観覧者の右脳を刺激しようとする試みも心地よかった。
赤壁の弓矢をイメージさせる展示 |
東京ではもうあと少しで終わってしまう(〜9/16)けど、都合が合うなら行ったほうがいい!
この後九州でもやるみたいだから、そっち方面の人もぜひ見ると良いよ。
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