ほし:★★★☆☆ (3/5)
最近見たアメリカのドラマ、 Mentarist 、 Lie to me 、 Criminal Minds あたりをね、見ましたよ。
どれも
「超人的なスキルを持った主人公(非体育会系)が、常人では到底到達しえない謎解きをして真犯人に迫る」
なんだよね。
適当な言葉が見つからないけど「ギフトもの」とでも言おうか。
昔の、それこそ80年代90年代のアメリカ映画の主流は「とにかく主人公がマッチョ」であって、それが刑事物であろうとも見せ場は武力行使。真犯人に迫る、なんてのは二の次。最初から犯人が分かってたり、サブのヒョロガリキャラが犯人を割り出して、そこに主人公が突っ込んでドカーンバコーン、そんなんばっかり。
カンフー映画が流行ったりするのも、その亜流みたいなもの。カンフーが主題であって、どういうストーリーだったかなんて誰も覚えてないでしょ? ジャッキー・チェンがすげぇ! でも犯人の名前すら覚えてない。なんだったらジャッキーが演じてる主人公の名前すら覚えてない。
時は流れて21世紀。
もうマッチョは流行らないのか、それとも時代の中心たりえないのか…。
ヒョロい主人公が頭脳でもって物事を解決していく、というスタイルが氾濫。
なんだろうね、アメリカ人の求める理想の人物像というものが変遷していっているのかなと思うけど。
「マッチョ=かっこいい」から「頭がいい=かっこいい」に移り変わっているのだろうね。
Mentarist のジェーン、 Lie to me のライトマン、 Criminal Minds のリード(もしくはかつてのギデオン)、性格も見た目もバラバラだけど根本は同じで「犯罪を見抜く特殊技能を持っている」という点。
ライトマンは少し武闘派だし、リードは彼だけが技能を持っているわけじゃないけれどね。
それと同じ構図が NUMBERS にもあって。
同様に「ギフトもの」で最近観たものでは PERSON of INTEREST も。序盤はめちゃくちゃ面白いのでオススメ。途中からグッダグダの展開になるので、シーズン 3 あたりからは切り捨てて構わないよ。
↓PERSON of INTEREST のレビューはコチラ
【★3】海外ドラマ「PERSON of INTEREST」〜素晴らしいシーズン1、グダグダの後続シーズン〜
映画ドラマ批評やゲームの感想、時事ネタやらを7割以上脱線した世迷言を織り交ぜて記すブログ
お話の世界観
NUMBERS のチャールズ・エプスはものすごく優秀な数学者。若いころからその名を轟かせ(といってもまだ20代だけど)、名前を出すだけでスポンサー集めには困らないほどの有名人。で、その兄のドン・エプスは FBI の特別捜査官。兄の犯罪捜査に弟が数学的知識を駆使して助けるという構図。
チャーリーの数学的知識によって、例えばいくつかの目撃情報から犯人が潜伏しているであろう場所を割り出したり、狙撃事件が起きたときにその入射角と傷口から狙撃場所を割り出したり、さらに次に行われる狙撃場所の推定までしたり。
まぁとにかく数学は万能なんですわ。
ぶっちゃけて言えば「んな都合よくいかんやろぉ~」って言いたくなることは山ほどある。
特にコンピュータで処理することで…みたいなのは、いやいやー無理あるんちゃうー、って言いたくなる。
でも、なんていうか「そういう能力」という定義がされているから理不尽さはまったく感じない。
なんだろな、とある魔術みたいな。ジョジョみたいな。「そういう能力」って言われた上で見ているから「ふーん、なるほどそんなもんか」って抵抗なく見られる。
ルパンがカリオストロの城で、城の屋根をジャンプで飛んでいって壁にビタッとへばりつくシーンとか「いやいやいや」って思ったけど、まぁいっかってなったでしょ。その感覚。
数学という切り口が新しく、推論が解決まで至るのも心地いいので、ついつい次の話、次の話、と見て行ってしまう。
あと助手のアミタがかわいい。
視聴者は印籠を待つ心境
で、見てる方は何を期待ちゃうかっていうと、チャーリーが「こういう観点でコレコレのデータ集合を見るとダレソレが犯人だ(もしくはドコソコがターゲットだ)」と言い出すのを、ただ待ってる。ドラマ見てる時の自分の心境を振り返ってみたけど、やっぱりそういう感情で見てる。
「はやく、チャーリーはやく何か思いついて!」って。
いわゆる印籠。
印籠出すところ見てスカっとしたいから、その手前40分の悪代官の狼藉を「むー、こいつめ」って思いながら見てる。
これはね、もう他のドラマにも全部共通した構成だからね、 NUMBERS は直球ど真ん中なつくりと言えるね。安心して見られる。
だって、あまりにも解決策が突飛すぎて「どうやってこの難局を乗り切るんだろう!?」みたいな心境にはならない。正確には、見進めていくと途中からそういう感情がなくなる。「いやいやいや、それは……まぁえぇか」を連続して繰り返していくうちに、視聴者側は考えるのをやめる。
それは、僕は心地よくて好きだった。ついついダラダラと見進めてしまう。
まぁ、ただあまりにも数学が万能すぎてちょっとなぁ……っていう気持ちになるのも事実。ダレるときはダレる。
海外版水戸黄門をダラダラと観たいなぁ、って心境のときにはうってつけのドラマ。
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