日本でカジノが解禁になるって?
IR 法案がどうたらこうたらで、なんか日本にもカジノができるかもしれないとかなんとか。別に法案に詳しいわけじゃないんだけど、なかなか条件が厳しいらしいじゃん。広さがどうことか、ホテル併設しなきゃいけないとか……。まぁ知らんで言うこっちゃないだろうけど。
個人的に、横浜市のカジノ誘致には反対
横浜市もカジノ誘致しようとしているみたいなので、身近な話題ではあるんだけどさ。個人的には、横浜市にカジノ作ってもうまくいかないと思うんだ。だから反対運動署名に参加したいんだよね。でもね、なかなか支援したい、応援したい、って思える反対団体がいないんだよ。
今回のエントリでは、「カジノ反対!」って言ってる人って、なんかおかしくねぇか? って話がしたいの。
すでに日本にカジノあるじゃん
そもそも論として、今の日本ってすでにカジノあるじゃんって。今更「カジノ解禁」とか言われてもね、全然頭にひっかからないのよ。右の耳から入って左の耳に抜けていっちゃうような、インパクトの無い話。日本のギャンブル依存症疑い例は世界一
厚生省が発表しているデータで、ギャンブル依存症を疑われている割合は 3.6% とのこと。
2 位のオランダ 1.9% をほぼダブルスコアで下して堂々の世界一。
参考:日経 ギャンブル依存症疑い320万人 厚労省推計、諸外国と比べ高く
おかしいねぇ、日本にはまだカジノ無いんですけどねぇ、どうしてギャンブル依存症がそんなに多いんだろうねぇ?(すっとぼけ)
きっとみんな競馬が大好きなんだろう(確信)。
つまりすでに日本にはカジノがある
麻薬中毒者が多い、ってのは裏を返せば麻薬が簡単に手に入る環境ってこと。
ギャンブル依存症が多いってことは? そう、日本では簡単にギャンブルに触れることができるってこと。
まぁ上の記事内にも書いてあるけど、結局パチンコなんだけどさ。 3.6% のうち、 2.9% までもがパチンコ・パチスロの依存症。
だって日本国内に 1 万弱のカジノ(パチンコ屋)があるんだよ? どんだけギャンブル好きなんですか、異常な国民性ですね!
たとえば中央線快速を見てみようよ。
31 駅のうち、駅前に店舗がない駅はたった 4 駅。仕事終わりに最寄り駅まで戻り、まず駅前のカジノの横を通り抜けてから自宅に帰る。うーん、さすがギャンブル依存症世界一の国。
仕事帰りのお父さんだけじゃないゾ、小中学校に通ってる子供だってカジノの横通って帰宅するんだゾ。そんな国、他にないでしょ、ね。
そんな日本でさ、いまさら「カジノ解禁!」って言ったところで、まぁぶっちゃけ真新しさは無いよね。すでにカジノがそっこらじゅうに溢れているんだから。
ところがそのカジノにいまさら反対、のなぜ
これだけ日本国内にはカジノ(パチンコ)が溢れているのにもかかわらず、改めて「公営カジノつくりまーす」って言うと反対意見が噴出したんだよね。なんで今さら? って感じなんだけども、その一番の理由が「依存症の人が増えてしまう」なんだって。すでにギャンブル依存症世界一の日本でだよ? 駅前徒歩 2 分でカジノに入れるこの国でだよ?
「依存症が増える」はお門違い
前述のとおり、日本はすでに世界一の依存症疑い例を抱えるカジノ大国。 1 万弱のカジノ店があるのに、新規にカジノをいくつか開業したからと言って「依存症が増える!」という批判は、ハッキリ言ってお門違い。
カジノがいまさら新しく 2 つや 3 つ出来たからって「依存症が増える」事に対する影響は微小だよね。
ここ(PDF注意)によると、パチンコは全国で 10000 店舗、参加人数は 1000 万人×平均遊戯回数 30 回で、のべ 3 億人。単純に割り算して、 1 店舗あたり、 1 年で 3 万人集客。
神奈川県には 533 店舗のパチンコ店があるので、年間のべ 1600 万人集客。
でさ、詳しくは後述するけれど、横浜市のカジノ試算の中間値を取ると、年間のべ 2000 万人の日本人を集客する想定なんだってさ。
すでに年間のべ 1600 万人がギャンブルに暴露している中で、 2000 万人がカジノに触れることでどれだけのギャンブル依存症が増えるというのか?
バカラやブラックジャックには特別に強烈な吸引力があるという理屈なのだろうか……? そんな理屈、さすがに成り立たんやろ。
そもそも依存症が心配なら、今の日本を心配しろよ
もし本当に依存症が心配なのなら、まず現代の依存症患者に対してケアを今すぐスタートするのが先決なんじゃなかろうか。だけどそういう論調は聞いたことがない。
「依存症が増える!」と言っている人は、本当に依存症が増える事を問題視しているのだろうか? もしそうなら、もっと先に手を付けるべきアレがあるんじゃないだろうか?
なぜ現代日本が現在進行形で抱えている依存症の問題を無視して、想像の域を出ない未来のお話だけにフォーカスするんだろう。
依存症が心配なんじゃなくて、既存カジノ業界が反対させてるんじゃ?
結局、反対している人たちって日本の依存症患者たちのことなんて本気で心配していないんだろうね。そうでなきゃ世界一のギャンブル依存症国家である日本の現状を無視なんてできないでしょう。
もしかして既存のカジノ業界(パチンコ)が、新たな商売敵となるカジノを排除するために新カジノに反対しているの? だから既存のカジノ業界に不利になる事は言えないの?
みたいなね。
もしくはカジノというものが法的に定義され、整備されて、出店できる場所や上納金、控除率などが明文化されると困ってしまう業界(つまりパチンコ)の人たちのために反対しているの?
みたいなね。
そういう疑問点が残ってしまうじゃん。
だから既存の依存症から目を背けたままで「依存症が増える」という理由を挙げるのは、お門違いなだけでなく「その反対活動のお金の出本はどこですか?」ってなっちゃうワケですよ。
既存カジノ業界の既得権益を守るため、また規制強化をさせないために「カジノ反対」と言っているのでは? と勘ぐりたくなる。
筋の通った反対理由その1、将来への負債になる可能性大
「依存症が増える」という反対理由は筋違いであるということはさっき書いた通り。じゃ、筋の通った反対理由ってなにかって話もしたいんだけども。
「商業的に失敗する」という反対理由は正しいと思う
私個人の意見としては、日本のカジノは商業的に失敗すると思う。だから横浜にカジノを誘致するのは反対。
特に今考えられている「入場料 6000 円」という仕組みがそのまま導入されたら、まず採算を取ることはできないんじゃなかろうか。
だって入場料無料のカジノ(パチンコ)がそこら中にあるのに、 6000 円払わないと行けないカジノに行かないでしょ。
一般論として、世界のカジノって収入の半分ぐらいは自国民の落としたお金なんだって。一応横浜市の資料でも、そんな感じの数字になってる。しかし日本だと、日本人はわざわざカジノに行ってお金を落としてくれないでしょうよ。
となるとカジノに自国民が行かないわけだから儲からないハズ。
具体的に、どの程度失敗するのかも考えてみよう。
そもそも横浜市の想定入場者数が甘すぎる
これが横浜市の想定資料。
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/seisaku/torikumi/IR/ir.files/irhoukoku4_gaiyo.pdf
横浜市の試算では 800 万 〜 5200 万人が来場して、そのうち 4 割〜 9 割が日本人という想定ね。
幅がありすぎるので、いずれも中間値を取ると年間 3000 万人の 6.5 割、つまり 1950 万人の日本人が来場するってこと。
ずいぶん幅がある想定だなぁ |
他方、ディズニーランドの入場者数のデータ。
ディズニーランド(ランド、シー合算)が年間約 3000 万人来場。
古い年度は省略してますよ |
こっちのページで、外国人率は 10% と紹介されているから、つまり日本人は 2700 万人。
USJ は公式データは無いけれど、こちらの記事によると 1390 万人 (2016年) 。外国人率はこちらも 10% と言われているので、日本人は 1251 万人。
つまり横浜のカジノはディズニーランドの 72% 、 USJ の 156% を集客する想定。
ハッキリ言って、こんなに入るワケがないでしょ。 USJ の 1.5 倍だよ? ウソつけよって話。
人が想定より入らないんだから、当然想定より売上は上がらないよね。
ちなみにシンガポールは 2 つの IR があって、 850 万人ぐらいの外国人旅行者を獲得しているようなので、仮に 35% 外国人、 65% 自国民を割り当てて逆算すると自国民は 1580 万人ぐらい。
IR 1 つあたり 800 万人弱。
さすがに 2000 万人集客する目論見は甘すぎる。
どれぐらいの売上になるのか?
まぁ一旦客が入らないって話は置いておくとして、どれぐらい売り上げるのかって話も考えてみたいのよ。儲かるかどうか(つまり横浜市に上納金がガッポリ入るのか、設備投資を回収できるのか?)が問題だからさ。
横浜市の資料によると、シンガポールの IR ( 2 施設合計) が年間 5400 億円の売上で、横浜市の IR は 3500 億円〜 8800 億円の目論見なんだと。
いやいや、さすがに流石に?
シンガポールの IR ってマリーナベイサンズとワールドリゾート・セントーサの 2 つがあるそうだけど、その合計を横浜だけで上回るって? 無理あるじゃろ?
想定売上もガバガバやん。
しかも来場人数のうち 65% (横浜市想定の中間値)は日本人という想定なワケでしょ。
でも来場者数は USJ の 1.5 倍客が入るとかいう無理のある数字。
しかも、すでにパチンコも競馬も競輪も競艇もオートもある日本人は、そんなにカジノ行かない。
まず施設の規模的にシンガポールの IR 施設 1 つぶんの集客能力と仮定し直すとして、その時点で年間 2700 億円規模。
さらに日本人客は想定の半分も行かない、たぶん 30% ぐらい(このパーセントは適当だけど、まぁこれぐらいじゃろ)。そう想定し直すと、全来場者数の 65% のさらに 70% が来ないわけだから、売上は想定の 54% ぐらいになるはず。
つまり年間 2700 億円 × 54% = 1458 億円の売上規模ぐらいが、おそらく妥当なんだと思うんだよね。
想定の最低限を、さらに 2000 億円下回るのでは
横浜市の想定の最低限が 3500 億円から。でも現実は 1500 億円弱になるという想定をした。
この甘すぎる横浜市の想定は、まず間違いなく IR 業者の早期撤退を招く。業者側が早期撤退を匂わせて、なんか横浜市側の譲歩を求める交渉に出てくるやもしれない。
そうなると、横浜市には何の実入りもないままインフラ整備やら治安対策やらの経費だけがズンとのしかかってくる事が容易に想像できるワケよ。
カジノは「利益」じゃなくて「売上」の 30% の上納をさせる仕組みなんだよね。そうなると企業は上納金差し引き後で、最低でも 3500億円 × 70% = 2450 億円の売上金を期待していワケね。
だけど、 1500 億円しか売り上げないと、企業の手元に残る売上は 1050 億円だけ。
売上が想定に 1400 億円も届かない。
こんなにマイナスになったら、そもそも運営費でカツカツ、たぶん総合 IR 全体の経費から考えると赤字になるんじゃないかな。
横浜市の資料によると、カジノ経営企業が得る EBITDA(純利益に、支払利息と税金と減価償却費を加えた利益)が 800 億円〜 2100 億円の目論見なんだと。俺よくこの指標知らないけども。
EBITDAってヤツが企業の収益らしいよ |
え、想定の最低限だと企業の利益が 800 億円っていう想定なの?
で、その想定から売上 1400 億円マイナスするんだ?
単純計算、年間で 600 億円もマイナスじゃん。
こんなんすぐ撤退じゃん。まぁすぐに撤退できないように契約するハズだけど、それでも 10 年縛りだから、 10 年後には撤退。横浜市は撤退をチラつかされたとき、どう対応するのか?
上納金免除か? 公的資金貸付か? 横浜市税の減免? 何かしら救済手段を打ち出す可能性は高いと思うんだよね。だって横浜市自身もすげぇ投資させられてるから、無駄にしたくないって意志の力は働くからさ。
回収できないお金はただの金ドブ
カジノで客が入らなかったね、じゃテコ入れしようね、ってのは難しい。想定が甘すぎるから、回収することもできない。どう頑張ってもできないでしょ。地道にショービジネスとかで集客して稼いでいくしかないんだけど、そうなると時間がかかるし回収できる保証もないし。
まぁでも、ちゃんとショービジネスとかに注力した想定で書き直して、ちゃんと IR 業者もそれを納得して入ってもらうんであればアリなんじゃないかな。
だから「今の想定は、できそうにないからカジノ反対」が筋の通った反対理由かなと思うわけでありんす。
筋の通った反対理由その2、オーバーツーリズム
収益性に疑問があるけれど、それでもやっぱり外国人含め年間 1200 万人ぐらいが訪れる施設になるハズでしょ。インフラの貧弱な新山下に年間 1200 万人も集めたら、「オーバーツーリズム」が懸念されると思うんだよね。ただでさえ混んでるのにさ
オーバーツーリズムってのは、まぁ簡単に言えば「人多すぎワロタ」って状態になることね。
で、新山下埠頭ってさ、一番近いのがみなとみらい線の「元町・中華街駅」だよ。徒歩 6 分。
地下道か歩道橋の整備しないと、歩道あふれちゃうような気がするけども。ま、それは整備するとして。
問題は、ここがそもそも休日混雑する観光地のど真ん中だってこと。
近隣の観光地
最寄り駅が被ってる観光地だけでも、以下の通り。- 元町
- 中華街
- 山下公園
- 外国人墓地
- 港の見える丘公園
他にも、少し離れた場所にある観光地は以下。
- 横浜スタジアム
- 横浜ランドマークタワー
- みなとみらい
- 赤レンガ倉庫
- 三渓園
みなとみらい線、耐えられるかなぁ……? 周辺の道路は、耐えられるかなぁ……?
それに IR の観光客ってタクシーの利用も多いんじゃない? 周辺道路、特に中華街近辺なんて、現状でも土日はすげぇ渋滞するんだからさ。
すぐそばのドン・キホーテとかホームセンターとか、自動車アクセスが悪くなりすぎて客足遠のくんじゃねぇのかってレベル。
これ以上混むのは勘弁
というわけでオーバーツーリズムになって道路も公共交通もパンクして近隣の住環境なり観光資源なりが悪化していくのがうっすら見えてるんだよね。だから、今のインフラのままで新山下埠頭にカジノを建設するのは反対。
今のままでは失敗、計画見直しが必要
そういうわけでね、きっと儲からないし、近隣のインフラを圧迫するし、今のままでは失敗するよね、きっとね。
ちゃんと計画を見直して、納得した企業を誘致できるようにならないとマイナスを抱えることになるよ。
まぁでもね、このカジノ議論の中で「ギャンブル依存症対策基本法」も成立したし、既存ギャンブルを巻き込んだ環境整備も進んでいるように見えるからね。よかったよ、カジノの是非みたいな事が議論されてね。まぁ横浜市のプランでは失敗するだろうから要らないんだけど。
今後、ちゃんとパチンコがカジノと分類されて、駅前カジノを減らしていけば、ようやく IR のカジノに商業的成功の目が出てくるワケで、ぜひともその方向でじゃんじゃん議論を進めてほしい(まぁそういう議論のススメ方してくれる人ほほ居ない事が問題なんだけど)。
今のままではカジノは失敗する! 税金の無駄遣いをやめろ! パチンコを規制してカジノを成功に導こう!
という、そういう理論が一番建設的だと思うんだけどなぁ。
今、反対運動をしている人たちに聞いてみた
こういうさ、筋の通った反対理由をかかげて反対運動している団体が見つからないんだよね、横浜市には。
だから、実際に質問してみたんだよ。 5 つの団体にね。
「あなた達がカジノ反対する最大の理由はなんですか?」「カジノ反対の理由にギャンブル依存症を掲げておいて、既存のギャンブルの規制に言及しないのは筋が通らないんじゃないですか?」って具合にね。
質問した団体というのは、以下の 5 つ。
この 5 つの選出理由は単純で、このサイトに載っていて、メールで問い合わせができるところを順番に当たっただけ。
あ、共産党だけは違うけど、共産党は常々「カジノ反対!」と言って回っているので含めてみました。
でももう長くなっちゃったので、それについては別エントリにまとめます。
乞うご期待。
↓続きのエントリを書きました
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